広い大地を走る汽車。
その車内は多くの乗客で賑わっていました。
ドードー、ブルーバック、リョコウバト、アルバトロス...それから人間も。
多種多様な生き物がこの車内で乗り合わせ、同じ目的地に向かっていきます。
けれども、途中から目的地にたどり着く前に車掌に降車を促される生き物が出てきます。
謎の数字が刻まれた駅名と汽車を降りていく生き物。
あんなに賑やかだったのに、乗っている生き物も少なくなり、少しずつ車内は寂しくなっていきます。
同じ汽車に乗り込んだ一人の男の子がお父さんから離れ、車内を散歩しはじめます。
そんな男の子の視点から車内の様子を映し出すようにこの絵本は物語が進んでいきます。
最初は賑やかで楽しかったのに、次々と生き物たちがいなくなって胸がきゅっとなる...作中の男の子と同様の感情を抱きながら読み終えることができるのですが、駅名の数字は何だったのだろうと謎が残ります。
その謎は最後の解説を読んだときに明らかになります。そして、そこからこの物語が本当の意味を持ちはじめます。
多くの絶望と一筋の光のような希望を引き連れて、この汽車は今も走り続けています。未来に向かって。