今年、作家太宰治は生誕110年を迎えました。
蜷川実花監督、小栗旬主演による「人間失格 太宰治と3人の女たち」も話題になりましたし、来年も遺作の「グッドバイ」が映画公開されるなどまだまだ太宰治の人気は高まり続きそうです。
佐藤友哉さんによる「転生!太宰治 転生して、すみません」は太宰治が現代日本に転生するという、一見ハチャメチャ、でもとても面白い、斜め横からの太宰治入門書としておすすめの小説です。
代表作「人間失格」は70年以上経っても私たちを惹きつけます。
タイトルの「人間失格」という言葉自体がとてつもないパワーワードになっていると思います。
そんな「人間失格」がなんとSFの世界に舞台を移してアニメ映画として生まれ変わります!
医療革命により、"死"を克服した昭和111年の東京――人々は体内の"ナノマシン"とそれらを"ネットワーク"により管理する"S.H.E.L.L."体制の支配により、病にかからず、傷の手当を必要とせず、120歳の寿命を保証する、無病長寿を約束された。
しかし、その究極的な社会システムは、国家に様々な歪を産み出す。埋まることのない経済格差、死ねないことによる退廃的倫理観、重度の環境汚染、そして、S.H.E.L.L.ネットワークから外れ異形化する"ヒューマン・ロスト現象"......。日本は、文明の再生と崩壊の二つの可能性の間で大きく揺れ動いていた。
大気汚染の広がる環状16号線外(アウトサイド)――イチロク。薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる"大庭葉藏"は、ある日、暴走集団とともに行動する謎の男"堀木正雄"とともに特権階級の住まう環状7号線内(インサイド)への突貫に参加し、激しい闘争に巻き込まれる。
そこでヒューマン・ロストした異形体――"ロスト体"に遭遇した葉藏は、対ロスト体機関"ヒラメ"に属する不思議な力をもった少女"柊美子"に命を救われ、自分もまた人とは違う力を持つことを知る――堕落と死。生と希望。男は運命に翻弄され、胸を引き裂き、叫ぶ。怒り。悲しみ。憐れみ――絶望に呑みこまれ、血の涙とともに大庭葉藏は"鬼"と化す。貴方は、人間合格か、人間失格か――(映画HPより)
あらすじを読んでもSFに疎い者にとっては「???」という感じですが、主人公『大庭葉蔵』をはじめ登場人物には確かに見覚えのある名前が・・・。
映画の創作陣にはスーパーバイザーに「踊る大捜査線」の本広克之さん、脚本に冲方丁さんなどなど日本を代表するクリエイターが集結。彼らよって「人間失格」がどう調理されるのか自ずと期待が高まります。
そして主人公大庭葉蔵を演じる宮野真守さんを始め超豪華声優陣がキャラクターに命を吹き込みます。
オリジナルの太宰治による「人間失格」そして映画「HUMAN LOST 人間失格 ノベライズ」どちらも好評発売中です。
映画の公開は11月29日。映画の前に読むか、後に読むか、いっそ2回読むか、悩ましいところです。