「明智光秀」を主人公とした今年の大河ドラマ、『麒麟がくる』の序盤において、特に異彩を放つ登場人物がいる。
それは、戦国時代を代表する"梟雄"のひとり「斎藤道三」である。
「明智光秀」の最初の主君にして、「織田信長」の正室・「帰蝶姫」の父である「斎藤道三」は、流浪の身から一代で美濃の国主まで駆け上がり、最後は、息子の「斎藤義龍」に謀反を起こされ、討ち果たされる。まさに、"下剋上"の代名詞たる"傑物"である。
過去にも大河ドラマでは、数多く取り上げられてきた人物であるが、改めてその足跡を追いかけてみると、『麒麟がくる』の主人公・「明智光秀」同様に、極めて謎が多い。
そもそも、これまでに"定説"とされてきた「斎藤道三」の一代記が、その前半に置いては父親のものであったという説が、現在では濃厚となっている。
この『まむし三代記』では上記の説を取り、「斎藤道三」を"二代目"に据えて、「初代・法蓮坊(父)」、「三代・義龍(子)」をめぐる「斎藤家三代」の物語が展開されていくことになる。
その中で、日本の歴史における"大転換"の引き金になった"とある宝物"が一貫として物語のカギを握る。"国滅ぼし"とも称されたその"宝物"をめぐり、三代の"まむし"による怜悧冷徹な深謀が、"美濃の国"を舞台にして繰り広げられていくのである。
「明智光秀」そして「織田信長」をつなぎあわせた、"美濃の国"・・。
"歴史の撚糸"を生み出した"まむし三代"の事績は、ミステリーにも似た読後感を、我々に与えてくれるであろう。