本書は中学校で理科を教える、清先生が生徒たちに出した自由研究のレポートをまとめたものです。

レポートと言うには最低限過ぎる、1~3行程度の文がひたすら箇条書きのように紹介されている。
言ってしまえばそれだけの本なのですが、これがなかなか面白い。

『Oさんは万歩計をつけて寝てみました。朝までに12歩あるいていました』
『Nさんは水が凍るのは0℃だと聞いて測ってみましたが、0℃ではなく4℃でした』

中学生たちの肩肘張らない、気の抜けたような取り組みははいたって真面目。
思わず笑ってしまいそうになるものから、大人がみても感心してしまうもの、
どうしてそうなったのだろうと考えてしまうものなど飽きることなく読めてしまいます。

ちょっとした注意ですが、中には失敗してしまっていたり、考え方が間違っているものかあるのですが
清先生はアドバイスも訂正をすることなくそのまま掲載しています。
それは先生が子どもたちの自由な発想を尊重し、得られた結果はその人だけの発見であることを認めているから。

『予想通りにならなかったのは失敗ではなく成功です。何も変わらなかったのは変わらないということを発見したのです』
前書きの言葉ですが、こういう先生だからこそ生徒たちも自由な実験ができるのでしょう。

科学や理科の楽しさの原点を教えてくれる、そんな本だと思います。










女子中学生の小さな大発見
清 邦彦 編著
新潮社
473円(税込)