2018年、AXNミステリー開局20周年を記念して、「あなたの好きな名探偵」ランキングが企画されました。

 全国のミステリーファン1万3千人の投票により第一位に輝いた名探偵は、「シャーロック・ホームズ」!!

 様々なかたちで映像化もされ、世界一有名な探偵といっても過言ではありません。

 もちろん、小説もコナンドイルが書いた本家「シャーロック・ホームズ」以外にも、続編といった形で書かれたものや夏目漱石と出会ったり、切り裂きジャック事件を解決したり、さらには宿敵モリアーティ教授が主人公だったりといった、パスティーシュ版も多いのも魅力の一つだと思います。

 この「ベイカー街の女たち」はコナン・ドイル財団公認のホームズ・パスティーシュでミセス・ハドスンとホームズの相棒ジョン・ワトスンの妻メアリー・ワトスンが探偵コンビを務めます。


 身に覚えのない情事を「暴露する」と脅す手紙におびえる女性の依頼をホームズが断ったことから物語は始まります。この時代、たとえ潔白でも疑惑をもたれるだけで女性は身の破滅に繋がりかねません。弱い立場の女性の力になりたいとハドスン夫人は立ち上がります。

 家政婦のハドスンさんが探偵なんてできるの?と思うかもしれませんが、ハドスンさんはなんと通気口からホームズたちの会話に聞き耳を立てていて、自然と探偵術を身に着けていたんです。

 ホームズやワトソンとは異なるアプローチで事件を調査する二人には、力強い助けがあります。BSIの貧しくても利口な少年たち、そしてアイリーン・アドラーです。本家「シャーロック・ホームズ」シリーズでもおなじみの彼らがこの物語でも魅力たっぷりに関わってきます。

  今より、女性や子供の地位がずっと低く、階級の差が大きかった時代に生きるハドスン夫人たちの視点は自然とビクトリア時代のロンドンの暗い部分を映し出します。だからこそ彼らの活躍が生き生きと輝いて見えます。

 もちろんホームズやワトソン君も登場します。脇役としての二人がどう描かれるのかもお楽しみです。

 

 さらにこの物語は第2作、第3作と続きます。日本では第2作めが「ベイカー街の女たちと幽霊少年団」として発売中です。

 「シャーロック・ホームズ」の新しい魅力を描いた『ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿』シリーズ、オリジナルと合わせてぜひお楽しみください。

 

 

 

 

 

ベイカー街の女たち
ミシェル・バークリイ/著
KADOKAWA
1,100円(税込)