「プロ野球選手」・・・誰もが憧れを抱く職業であり、華やかなイメージがそこにはある。
そして、現在は、セントラルリーグ6球団、パシフィックリーグ6球団と、計12球団がトップリーグの「プロ野球チーム」として存在しているのだが、この書は、その壮大な歴史の流れを紐解くことができる1冊となっている。
今や国民的スポーツとなった「野球」であるが、それが日本に伝わったルートは様々にあった。
明治維新直後、鉄道技師となるべく渡米した青年が、他の仕事仲間と余暇を過ごすためのスポーツだった「ベースボール」に傾倒し、鉄道技術と共にそのスポーツも日本に持ち帰ったのが、ルーツのひとつとも言われている。「鉄道」と「野球」はこの時から、深い因縁に結ばれていたようである。
そして、戦前の大イベント「日米野球」が行われる以前、昭和に入るその前から、実は「プロ野球団」は存在していた。
ひとつは、「大学野球」からの流れを組む「スポーツ振興」を目的とした球団であり、もうひとつは、「娯楽と興業」を目的とした球団であり、「ふたつの流れ」が同時に進行していたというのが、個人として興味深いところである。
結局その2球団は、早々に解散の憂き目にあい、現在のプロ野球界と繋がることはないのだが、「職業」としての「野球」に焦点をあてさせた意義は大きかった。
プロ野球のオーナー会社は、世相を映している。「鉄道」「新聞」「映画」「百貨店」「IT」・・・。
そして歴史としては繋がっていないはずなのだが、その黎明期と同じように、「相克するふたつの流れ」が存在している。
それは「同業種の相克」であり、「東西の相克」であり、「政界の相克」、「球界の相克」などなど・・"支流"が交わって、大きな"本流"となって、流れていく様によく似ている。
「プロ野球」の世界を彩る主役は、実際に観客の前に立ちプレーをしている選手たちである。
しかし、彼らが所属する「球団」そして「球界」の担い手たちが積み上げてきた歴史を知ると、「プロ野球」をより多角的に楽しむことができると言えよう。