2022年のNHK大河ドラマは『鎌倉殿の13人』。
源頼朝の死後、将軍が独断で訴訟の裁定を行うことを防ぐ目的で発足したとされる、「十三人の合議制」。
その構成メンバーのひとり、北条義時が主人公です。
源氏三代なき後の鎌倉幕府を支えた執権であり、承久の乱における当事者の一人。
そして、鎌倉時代以降の"武士の世"という流れを決定づけた人物です。
この時代に、陰謀・粛清・暗闘といった暗く澱んだイメージがあるのは確かなこと。
それは三代将軍・源実朝が暗殺されたことに象徴的に表れています。
とはいえ、戦国や幕末と比べ、この時代をよく知らない方も多いのでは。
そこで、今回ご紹介したいのは葉室麟『実朝の首』です。
鶴岡八幡宮で暗殺された実朝の首が消えた!
実行犯とされる公暁の従者が持ち去るも、それは幕府内の血で血を洗う権力争いの端緒に過ぎなかった。
消えた首を手中に収めようとする、幕府、朝廷、そして本流の裏側で暗躍する者たち。
ラストには実朝の死に隠された重大な秘密が明らかになる――
この小説の中で北条義時にスポットが当たるわけではありませんが、実朝暗殺の黒幕が義時であるという一説もあり、ここから波及する承久の乱も含め、この時代を知るのに役立つ一冊となっています。
まさに大河ドラマの副読本にふさわしいといえる、一級のエンタテイメント小説です。