ユーモアミステリの旗手・七尾与史が、前代未聞の刑事を生み出しました。
その名は茶利太郎。通称チャーリーと呼ばれるその男は、なんと一糸まとわぬ姿で鮮やかに事件を解決する全裸刑事なのです。
本書は「5分で読める」シリーズに収録されていたショートショート「全裸刑事チャーリー」15編が1冊になったものです。
舞台は、価値観が多様化する中、人前で全裸でいる権利を認めた「ヌーディスト法」が施行されたばかりの日本。
法律で認められはしたものの、まだまたヌーディストたちに対する風当たりが強い。
そんな中で、日本初の全裸警官としてチャーリーが登場したのです。
相棒は「人前では服を着ていなければいけない」という、ごく普通の感覚を持った新米警官・七尾。
彼を巻き込みつつ、チャーリーが体当たりで挑む事件の関係者はどいつもこいつもヌーディストばかり。
全裸であるゆえに起こった悲劇、全裸こそが事件解決のカギとなる事件などバリエーション豊かで飽きさせません。
1話10ページのショートショート集ということもあり、ちょっと聞き込みなどしたらあっというまに犯人逮捕。
ロジックも減ったくれもなく事件は解決してしまいますが、そこがまたバカバカしさに拍車をかけます。
また、話を経るにつれてヌーディストたちが徐々に市民権を得ていく様子も滑稽です。
被服税の導入、全裸専用車両の登場など、世間では服を着ている人たちがまるで喫煙者と同じように肩身が狭くなっていってしまうのです。
この世界の日本は一体どこに向かってしまうのでしょうか。
絶対に映像化不可能なこの作品、もし気になったしまったなら読んでみるしかないですよ。