~男たちは旅へ出た。「その本」を探す、果てしのない旅へ~
本が大好きな、とある国の王様に招かれたのは二人の男・・。
大人気の絵本作家として名高い、「ヨシタケシンスケ」
芸人作家として芥川賞を受賞した、「又吉直樹」
そんな二人が王様から受けた依頼は、
「世界中を回って、めずらしい本を探し、その本の話を聞かせてほしい」
というものだった。
本が大好きな王様は、歳を取って目が悪くなり、本を読むことができなくなっていた。それでも、大好きな本のことをもっと知りたいと、二人に「本を探す旅」に出て、「本の話」を集めて欲しいと願ったのだ。
そして、二人は旅に出たというわけである。
やがて1年の時が過ぎ、二人は大量の「本の話」を持ち帰ってきた。寝たきりになっていた王様に、夜ごと「本の話」を語って聞かせることにしたのだが・・。
・・タイトルが示す通り、「その本は」という枕詞から始まる「めずらしい本」の話が集められている。
文壇の寵児ともいうべき、「ヨシタケシンスケ」と「又吉直樹」が収集した「本」なので、時にはユーモアたっぷりに、時にはホラーの要素を散りばめながら、示唆に富むものばかりで、肝心の「本」の中身に全く触れていなくとも、まるで「その本」に触れたような錯覚を見せられる。
「本が大好きな王様」のために、二人の「作家」としての矜持を、存分に発揮した・・と言いたいところである。
だが、しかし・・。
「本」には必ず、「あとがき」があるので、しっかりそこまで読むことをオススメする。