ねこが化け猫になるための修行のおはなし
怖くて愛らしい猫だけの秘密
猫の愛らしさとミステリアスさが爆発してページからあふれだしそうな絵本、加門七海と五十嵐大介の『ねこまがたけ』をご紹介します。
飼っている猫が、あるいはいつも道で見かける猫が、ふといなくなる。
実は、猫たちは修行のために山にある猫の国に行っているのです。
ねこまがたけはそんな修行の山のひとつ。福島県に実際にある山です。現実の猫魔ヶ岳にも、どうやら本当に化け猫や猫王の伝説があるようです。
修行の山は全国にあって、石川県に近いところだと長野県戸隠だとのこと。
『ねこまがたけ』では、化ける修行や踊る修行など、我々の想像を遥かに超える猫の能力の高さを目撃することができます。山は猫にとって過ごしやすい場所だそうで、下山せずに過ごし続ける猫も多いのだとか。
でも、ある一匹の茶ぶちの猫は、最後には......
冒頭は怖い雰囲気ではじまる『ねこまがたけ』。
集まってくる猫たちの得体の知れなさ、禁を犯した人間たちの末路、そして圧巻は化け猫たちの百鬼夜行。
けれども踊りの修行のあたりから様子が変わってきます。
雰囲気と画面はどんどん明るくなり、猫たちの大宴会のあとはのんびり自然と戯れる猫たち。
そんな中、一匹の茶ぶちの猫は、誰かの声が聞こえたような気がして思い出します。
別れと、再会の約束をうたった一首の和歌を―――
夏目漱石の『吾輩は猫である』や万城目学の『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』などでも描かれているように、猫は我々人間の知らないところで独自のコミュニティを築き、人間には思いもつかない事件に出会い、偉業を成しているのかもしれません。そして、どんなに無関心に見えても、飼い主のことを愛してくれているのでしょう。
当店では6/21(金)~7/21(日)、『ねこまがたけ』原画展を開催中です(9:00~19:00)。
グッズや関連書籍の販売も行いますので、ぜひお越しください!