令和6年7月の新紙幣流通により、新しく「お札の顔」となった北里柴三郎。

 

彼は「近代日本医学の父」と呼ばれるほどの人物であり、主な功績を挙げると、破傷風菌の純粋培養の成功および血清療法の開発、ペスト菌の発見などで、後の細菌学や伝染病の研究に多大な影響をあたえました。

 

日本人として彼の偉業を知っておくべきなのはもちろんですがが、どういった生涯を送ったかに興味があるならこちらの伝記小説をお勧めします。誰よりも研究熱心で、時には命の危険も顧みない男の原動力はどこにあったのか。また、ノーベル賞の最終候補にまでなりながら共同研究者だけが受賞したのはなぜなのか。母校である東大医学部との対立の原因と、それによる苦境をいかにして乗り越えたか。

 

医学の発展と人命を救うことに生涯をささげたその姿勢こそ、私たちが忘れてはいけないものではないでしょうか。

北里柴三郎 雷と呼ばれた男 上
山崎光夫/著
中央公論新社
902円