人々を魅了し続ける絵画たちを、文字の世界で楽しむのはいかがでしょうか。
原田マハ 箸/新潮社
737円
スイスの大富豪の邸宅にかかる一枚の絵―それは巨匠アンリ・ルソーの『夢』に酷似していた―の真贋判定に挑むことになった、ニューヨーク近代美術館のキュレーターと日本人研究者。一冊の古書を頼りに真贋を見極めようとする中で、ルソーの、そしてピカソに関わる秘密も明らかになっていく…アートミステリといえばコレ!
島田荘司 箸/新潮社
各781円
「東洲斎写楽は誰か?」仮説が乱立し錯綜しながらも、いまだに分かっていない歴史上のミステリです。一年にも満たない活動期間に100点ほどの創作をし、こつ然と消えた稀代の浮世絵画家・写楽。あらゆる断片をつなぎ合わせて、本格ミステリの巨匠・島田荘司がたどりついた驚愕の真実とは。読みごたえ十分の傑作ミステリ。
望月諒子 箸/光文社
713円
ゴッホの『医師ガシェの肖像』をめぐるコンゲームの傑作。日本人によっておよそ180億円で落札されたものの、バブル崩壊により行き場を失い、いわゆる“塩漬け”になっていた『ガシェ』。それを狙って盗みを依頼する者、実行犯に仕立て上げられる者…騙しあいの果てには予想できない結末が。美術界の裏側も細かく描かれている点もおすすめ。
安部龍太郎 箸/文藝春秋
各770円
桃山時代に活躍した天才絵師・長谷川等伯の生涯。当時京都の画壇で専横をふるっていた狩野一派をも恐れさせた、実力者です。石川県七尾市に生まれるも、戦国の世に翻弄され京都に活動の場を移すことに。狩野派の巨大な壁に直面する一方、数々の出会いや乾坤一擲の決意によって、等伯は高みへ登っていく。直木賞受賞の傑作。
サマセット・モーム 箸/新潮社
693円
出会いに何の感慨もない、特別なところのない男。それがチャールズ・ストリックランドに会った最初の印象だった。だが、彼は家族を捨ててパリに出奔。「私」は夫人から依頼され、ストリックランドを追う―自分本位に絵画だけを愛し、他人を不幸にしながらも創作に命を費やす男の物語。ゴーギャンの伝記からインスピレーションを得たという名作です。
朝井まかて 箸/新潮社
781円
葛飾北斎の娘、お栄―葛飾応為の生涯を描いた傑作。身内のしりぬぐいやかなわぬ恋といった、普通の人の側面がある一方で、一人の絵師としての矜持や、偉大すぎる父の背中を睨み追う姿が迫ってきます。己の力を模索しながらも北斎を支え続けたお栄。読んだ後には応為の絵が見たくなること疑いありません。
門井慶喜 箸/文藝春秋
770円
絵画を見たときに感じる“甘み”と“苦み”で真贋を見分けることができる、美術コンサルタントの神永。ワトソン役の美術講師・佐々木と共に美術品にまつわる謎に挑む。様々な美術蘊蓄の情報量もさることながら、作品の時代背景や所有者の想い、画材や地理的条件など、あらゆる角度から鑑定を行っていく様は美術探偵の名に恥じぬものです。
黒川博行 箸/文藝春秋
660円
美術骨董界に巣食う魑魅魍魎。贋作をつかませようとする者、掴まされる者。狡猾に入札不正をする者、相剥ぎ本で儲けを水増しする者…。某贋作画廊のオーナーを彷彿とさせる百鬼夜行に、なぜか胸が熱くなります。黒川博行といえば元美術教師。彼が生み出す、ずるくていやらしくて悪くて格好良い男たちの珠玉の短編集。
ダン・ブラウン 箸/角川書店
各660円
ルーブル美術館の館長が殺害されたところから幕が上がる。その死体はダ・ヴィンチの“ウィトルウィウス的人体図”を模した姿をしていた…ダ・ヴィンチの暗号機やモナ=リザ、最後の晩餐などだけではなく、キリスト教史、秘密結社、西洋美術史、暗号学など、魅力的なピースが緻密で壮大な物語をつくりあげる。大ヒットの理由は、読めばわかる!
中村啓 箸/宝島社
693円
京都の松老寺で、かの『鳥獣戯画』の失われた断簡が発見され、その真贋に耳目が集まる中、断簡に関わる人間が次々に不審な死を遂げる。卓越した審美眼を持つ安斎洋人は、事件の謎、断簡の真贋、それらに隠された陰謀に立ち向かう。特に鳥獣戯画についての考察は圧巻。知っているようで知らない、あのユーモラスな日本美術を小説で楽しみましょう。